SKE48は勝負する場を見ていたか NMB48の特別賞から考える、悔しさの先の課題

SKE48は予選敗退。一方、同じ48グループのNMB48は決勝へ進み、特別賞を獲得しました。

11月2日に豊洲PITで開催された「IDOL BATTLE ALIVE 2026」。SKE48から出場した倉島杏実さん、伊藤実希さん、篠原京香さん、井田玲音名さん、大村杏さん、河村優愛さんの6人は、決勝のステージに立つことができませんでした。

終演後の投稿には「悔しい」「決勝を見てほしかった」という言葉が並んでいます。その悔しさも、準備にかけた思いも、軽く扱いたくはありません。

ただ、今回考えたいのは、負けることを考えずに挑む姿勢と、勝負する場や相手を冷静に見ることは、両立させる必要があるという点です。

自分たちの強みを信じることは大切です。しかし、「SKE48らしい全力のステージを見せれば届く」という考えに寄りすぎてはいなかったか。NMB48の構成と結果を併せて見ると、その疑問がさらに強くなりました。



SKE48の予選は「拗ねながら、雨…」「恋を語る詩人になれなくて」

SKE48は「絶対インスピレーション」の衣装で登場。overture、ダンスブリッジを経て、2曲を披露しました。

曲順内容
M00overture(SKE48 ver.)
―ダンスブリッジ
M01拗ねながら、雨…
M02恋を語る詩人になれなくて

「拗ねながら、雨…」では大村杏さんと倉島杏実さん、「恋を語る詩人になれなくて」では河村優愛さんがセンターを担当。篠原京香さんのソロダンス、倉島杏実さんの煽りも組み込まれていました。

「拗ねながら、雨…」は、1stアルバム「この日のチャイムを忘れない」に収録されたセレクション8の楽曲。「We're Growing Up」公演でも披露されてきた曲です。

「恋を語る詩人になれなくて」は、チームS 3rd「制服の芽」公演のオープニング曲。長く受け継がれ、「詩人ジャンプ」という言葉で見せ場を共有できるほど、SKE48のファンには親しまれています。

どちらも、ファンにとって魅力のある曲です。ただ、その思い入れや盛り上がり方を知らない人に、何を届けるのか。外部での勝負では、そこから考える必要があったと思います。

NMB48は決勝進出、さらに特別賞を獲得

予選を通過したのは、NMB48、美味しい曖昧、RE-GE、ロージークロニクルの4組でした。

NMB48の出演メンバーは、泉綾乃さん、塩月希依音さん、坂田心咲さん、青原優花さん、宮本杏海さん、中川朋香さんの6人。SKE48と同じく、グループを代表する6人での挑戦でした。

NMB48は決勝進出に加えて特別賞を受賞し、賞金100万円と、賞金の使い道に密着するLemino特番への出演権を獲得しています。なお、優勝はロージークロニクルでした。

結果発表:
NMB48の特別賞受賞|IDOL BATTLE ALIVE公式
ロージークロニクルの優勝|IDOL BATTLE ALIVE公式

NMB48は、短い時間に複数の入口を用意していた

観覧者の記録として共有されている、NMB48のセットリストは次の通りです。以下は公式の曲目一覧として確認したものではなく、観覧記録に基づく掲載です。

曲順予選決勝
M00overture(NMB48 ver.)overture
M01カモネギックス(Remo-con REMIX)未来図
M02愛が終わってもSelfish天使のユートピア
M03わるきー欲望者
M04プライオリティー青春のデッドライン
M05やねん全部抱きしめろ!

この曲目から筆者が感じるのは、限られた時間でNMB48の異なる面に触れてもらおうとする構成です。

予選だけでも、リミックス曲から「わるきー」、さらに「やねん」まで並ぶ。ひとつの印象を押し続けるだけでなく、曲が変わるたびに、別の表情を見せる機会があるセットリストです。

もちろん、5曲だから2曲より優れている、という話ではありません。短く曲をつなげれば、歌や世界観を十分に伝えにくくなる場合もあります。2曲に絞り、深く印象を残す作戦も成立します。

それでも、今回のNMB48の曲目には、「この部分が好きではなくても、次の場面で気になるかもしれない」という入口の多さを感じます。ファンから見たお得感だけでなく、初めて見る人が好みの要素を見つける機会にもなり得る構成です。

この違いが、特別賞の直接の受賞理由だったと断定はできません。ただ、同じ48グループでも、楽曲の蓄積を使ってどのような自己紹介をするかには、選択肢があったことが分かります。

「自分たちらしさ」と「外へ届ける工夫」は両立できる

NMB48も、自分たちの曲で戦っています。外へ合わせることは、自分たちらしさを捨てることではないのです。

大切なのは、持っている曲や個性を、その場の観客に伝わる順番と分量で見せること。普段のファンに説明不要な魅力を、初めて見る人にも伝わる形にすることだと思います。

SKE48の「恋を語る詩人になれなくて」は、その違いを考えたい曲です。ファンには、イントロやジャンプだけで気持ちが高まる理由があります。過去の公演やメンバーとの記憶も、目の前のステージに重なっています。

しかし、初見の人にとっては、その日の曲、その日の6人がすべてです。ジャンプが揃っていて凄いと思った後、誰かの表情や声が記憶に残るか。次の場面を見たくなるか。そこまで届いて初めて、外へ広がる力になります。

身内で盛り上がる曲を選ぶこと自体に問題があるのではなく、その盛り上がりが外でもそのまま通用すると思ってしまうことが危うい。今回の選曲から、筆者が強く感じたのはそこです。

「負けることを考えない」と「相手を見ない」は違う

勝つつもりで準備し、決勝のステージまで作り込むことは大切です。最初から負けた場合のことばかり考えていては、出せない力もあるでしょう。

同時に、勝つためには、その場で何が評価され、他のグループがどんな強みを持っているのかを見なければなりません。

ロージークロニクル、RE-GE、NMB48、美味しい曖昧など、それぞれに個性のあるグループが並ぶ中で、SKE48の6人はどんな違いを残すのか。激しさ、一体感、全力感を出した後、もう一段、何を見せるのか。

今回の大会は、ステージ演出力・歌唱力・パフォーマンス力・アイドル性・表現力の5項目で評価される場でした。自分たちの得意なところを磨くことに加え、その強みを総合評価につなげる構成が必要です。

内部でどれだけ他のグループを研究したかは分かりません。したがって、実際に研究不足だったとまでは言えません。それでも、提示された構成からは、勝負する場に合わせて自分たちの見せ方を変える意識が、十分に伝わっただろうかと疑問が残ります。

以前の記事でも、今回を「ダンスの強さだけで勝つ大会」と捉える危うさについて書きました。

関連記事:
SKE48は「ダンスのSKE」だけで勝てるのか?IDOL BATTLE ALIVE 2026の審査基準を見直す
SKE48は予選3番手!ロージークロニクル、RE-GEの後で「汗」の先を見せられるか

NMB48との差として考えたいのは、気合の強さや練習量の多寡ではありません。自分たちの魅力を、限られた時間で、初めて見る人にどう伝えるか。その設計の違いです。

メンバーから相次いだ「決勝を見てほしかった」

大村杏さんは「悔しい。それ以外ないです」と投稿し、決勝で披露する予定だったセットリストを、いつか必ずこの6人で届けると約束しました。

篠原京香さんは、この6人で戦えた喜びと、さらに磨いて強くなり、再びこのステージに立ちたいという思いをつづっています。

河村優愛さんは、2曲の見せ場が揃ったことへの手応えと、最も後輩の立場で必死についていった期間の成長を報告しました。

練習したことを本番で出し切れたという実感は、大切なものです。ただ、それと勝負として十分だったかは、努力の方向を分けて振り返る必要があると思います。

伊藤実希さんも、決勝や優勝へ導けなかった悔しさと、練習を重ねた決勝のステージを見てほしかった気持ちを伝えています。

井田玲音名さんは、悔しさをにじませながら、自身にとって大切な一日になったと報告。応援への感謝をつづりました。

決勝に自信があったからこそ、予選の作戦を問い直したい

これだけ多くのメンバーが見てほしかったと語る決勝のステージは、ぜひ見たいです。大村さんの約束が実現することを楽しみにしています。

ただ、大会で披露するには、予選で選ばれなければなりません。「決勝まで見てもらえれば伝わったかもしれない」という思いが強いほど、その魅力を予選の段階でどう伝えるべきだったかを考えたいところです。

これは、決勝に向けて出し惜しみをしたと決めつける話ではありません。決勝の内容や、選曲に至る議論は分からないからです。

そのうえで、予選の2曲だけを見た人が、この6人のどんな魅力を持ち帰れる構成だったのか。歌声を覚える場面、表情に惹かれる場面、空気が変わる瞬間は、どのように用意されていたのか。そこを具体的に振り返ることが、次の勝負につながるはずです。

NMB48の構成を、そのまままねする必要はありません。しかし、同じ48グループが自分たちの楽曲を使い、決勝進出と特別賞という結果を残したことから、学べるものはあると思います。

「もっと揃える」に加え、「どう選ばれるか」を考えてほしい

今回の敗退理由を、選曲や構成だけに特定することはできません。この記事では、各グループの採点内訳や、敗因を特定できる審査講評までは確認できていません。

それでも、「SKE48が一番良かった」「これがSKE48らしさだから」で終わらせてしまうのは、本人たちの悔しさにも応えられない気がします。

ファンには、好きなグループのステージを楽しむ自由があります。一方で、勝負の場では、その楽しさが初めて見る人にも伝わったかを考える必要があります。いつものファンが満足したことと、外部の評価で選ばれることは、同じではありません。

メンバーが努力したことを認めながら、作戦には疑問を持つ。その両方があっていいと思います。運営やスタッフにも、本人たちの「もっと強くなりたい」を、練習量だけでなく構成や見せ方の改善へつなげてほしいです。

負けることを考えずに挑む。そのためにも、勝負する場と相手をよく見る。

SKE48の全力を、どこに、どのように使えば届くのか。NMB48との結果の違いを、単純な優劣で終わらせず、次のステージを変える材料にしてほしいと思います。

SKE48公式からは、見逃し配信も案内されています。

この6人が用意していた決勝のステージを、いつか見たい。そして、その先の挑戦では、今回とは違う勝ち方を考えたSKE48を見たいです。

文:ステージノート

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